Amazon広告のレポートは、数字を眺めるだけでは改善につながりません。表示回数、クリック数、CTR、CPC、注文、売上、ACOS、ROASなどの指標は、それぞれ単独で見るよりも、前後の流れで読む必要があります。
たとえば、ACOSが上がっているキャンペーンでも、原因は入札だけとは限りません。検索語句が広がりすぎたのか、クリック後の商品ページで離脱しているのか、掲載面の配分が変わったのか、予算切れで成果の良い時間帯を逃しているのかを分けて見る必要があります。
この記事では、Amazon Ads公式が提供する各種レポートの役割を前提に、週次レビューで見落としやすい5つの異常値を整理します。基本指標は Amazon広告の指標の読み方ガイド を、週次の運用手順は Amazon広告の週次改善チェックリスト も合わせて確認してください。
まず見るべきレポートを分ける
Amazon Adsでは、広告タイプごとに複数のレポートが用意されています。Amazon Ads公式のレポート説明では、検索語句レポート、ターゲティングレポート、キャンペーンレポート、掲載面レポート、広告商品レポートなどが、それぞれ異なる目的で使われます。
週次レビューでは、次の順番で見ると判断しやすくなります。
見る順番 | レポート | 何を判断するか |
|---|---|---|
1 | Campaign report | どのキャンペーンで費用・売上・ACOSが動いたか |
2 | Search terms report | 実際にどの検索語句でクリック・注文が発生したか |
3 | Targeting / Keyword report | 入札しているキーワードやターゲットの成果 |
4 | Placement report | 掲載面ごとのCTR、CPC、CVR、ACOSの差 |
5 | Advertised product / Attributed purchases | どの商品が売れているか、意図とずれていないか |
すべてを同じ粒度で見ようとすると、時間がかかります。まずキャンペーン単位で異常値を見つけ、その原因を検索語句、ターゲティング、掲載面、商品へ分解します。
異常値1:表示は増えているのにクリックされない
最初に見るべき異常値は、表示回数だけが増え、クリック数やCTRがついてこない状態です。
この時に起きていることは、主に3つです。
兆候 | よくある原因 | 次の確認 |
|---|---|---|
impressions増、CTR低下 | 検索意図が広がりすぎた | Search terms report |
impressions増、クリックなし | 広告文・商品画像が弱い | ターゲットと広告クリエイティブ |
impressions増、ACOS悪化 | 低意図語句への露出が増えた | 除外キーワード候補 |
検索語句レポートは、買い手が実際に入力した語句を確認するためのレポートです。Amazon AdsのSearch term reportドキュメントでも、検索語句のパフォーマンスをターゲティング式やキーワード単位で確認できると説明されています。
表示が増えているのにCTRが下がる場合、まず「新しく拾い始めた語句」を確認します。商品と合わない語句、情報収集だけの語句、競合比較の語句が増えているなら、入札を上げる前に除外や構成分けを検討します。
異常値2:クリックは取れているのに注文が増えない
クリック数は増えているのに注文が増えない場合、クリック前ではなくクリック後に問題がある可能性があります。
見るべき指標は、CTRよりもCVR、ACOS、ROAS、広告商品、遷移先の商品ページです。
状態 | 判断 | 打ち手 |
|---|---|---|
CTR高い、CVR低い | 広告はクリックされるが商品ページで落ちている | 商品ページ、価格、レビュー、在庫を確認 |
CTR高い、ACOS高い | クリック単価またはCVRが合っていない | CPCとCVRを分けて見る |
クリック増、注文なし | 検索語句の意図が購入に遠い | 語句を分離し入札を下げる |
この状態で見出しや入札だけを調整しても改善しにくいです。広告で作った期待と商品詳細ページの内容が一致しているかを確認します。商品ページの内容が弱い場合は、広告運用だけでなく、商品画像、タイトル、価格、在庫、レビューも改善対象になります。
異常値3:ACOSだけが急に悪化している
ACOSが急に悪化した時は、費用が増えたのか、売上が落ちたのかを分けます。
分解 | 見る指標 | 主な原因 |
|---|---|---|
費用増 | spend / CPC / clicks | 入札上昇、掲載面変化、広い語句への露出 |
売上減 | sales / orders / CVR | 商品ページ、価格、在庫、競合、季節性 |
両方 | CPC上昇 + CVR低下 | 競争激化と商品訴求の弱化 |
ACOSだけを見て「悪い」と判断すると、打ち手を間違えます。CPCが上がっているなら入札・掲載面・競合を見ます。クリック単価は変わらずCVRが落ちているなら、商品ページや価格、レビュー、在庫の問題を疑います。
特に週次レビューでは、ACOSが悪化したキャンペーンを次のように分解します。
- CPCが上がったか
- CTRが下がったか
- CVRが下がったか
- 注文単価が下がったか
- 売れている商品が変わったか
ACOSは結果指標です。原因指標まで戻してから調整します。
異常値4:掲載面の構成が変わっている
Amazon Adsのレポートには、掲載面別の成果を見るものがあります。公式のレポート説明でも、placement reportやcampaign placement reportはTop of Searchなど掲載面別の成果把握に使うと説明されています。
同じキャンペーンでも、掲載面が変わると成果は大きく変わります。
掲載面 | 起きやすい変化 | 確認ポイント |
|---|---|---|
Top of Search | CTRは高いがCPCも上がりやすい | CVRとACOSが見合うか |
Product Pages | 比較検討の文脈でクリックされる | 競合商品との価格・レビュー差 |
Rest of Search | 露出は広がるが意図が薄い場合がある | クリック後のCVR |
掲載面構成が変わると、キャンペーン全体のCTRやACOSも変わります。入札調整後、セール期間中、競合の動きが強い時は、掲載面別の配分が変わっていないかを確認します。
Top of Searchで成果が良いならプレースメント調整を検討できます。一方、Top of Searchだけを強めるとCPCが上がり、利益が合わない場合もあります。掲載面別に「CTR」「CVR」「CPC」「ACOS」を並べて見ます。
異常値5:検索語句とキーワードがずれている
検索語句とキーワードは同じではありません。キーワードは広告主が入札する語句で、検索語句は買い手が実際に入力した語句です。
このずれを見落とすと、次のような状態になります。
ずれ | 問題 | 次のアクション |
|---|---|---|
広すぎる検索語句でクリック | 費用だけ増える | 除外キーワードを追加 |
成果語句が自動・部分一致に埋もれる | 入札を強められない | 完全一致や専用キャンペーンへ昇格 |
商品と関係の薄い語句が増える | CVRが下がる | 構成を分ける |
検索語句レポートは、成果語句を見つけるだけでなく、無駄なクリックを減らすためにも使います。成果が出ている語句は、完全一致やフレーズ一致へ移し、入札と予算を管理しやすくします。成果が出ない語句は、除外キーワードとして整理します。
キーワード構成の考え方は Amazon広告のキーワード選定とマッチタイプ戦略 と、次に公開予定のマッチタイプ実例集で詳しく扱います。
週次レビュー用チェックリスト
最後に、週次レビューで見る順番をチェックリスト化します。
Check | 見るもの | 判断 |
|---|---|---|
1 | キャンペーン別のspend / sales / ACOS | 大きく動いたキャンペーンを特定 |
2 | CTRとCPC | クリック前の問題か、費用の問題か |
3 | CVRとorders | クリック後の問題か |
4 | Search terms report | 語句の広がり、成果語句、除外候補 |
5 | Placement report | 掲載面の配分変化 |
6 | Advertised product / purchases | 売れている商品が意図と合っているか |
7 | 前週の変更履歴 | 入札、予算、商品、セール、在庫の変更 |
見る順番を固定しておくと、レポート確認が「感想」ではなく「判断」になります。毎週すべてを作り直すのではなく、異常値のあるキャンペーンから順に掘り下げます。
まとめ
Amazon広告レポートは、数字を並べるだけでは改善につながりません。表示が増えた、CTRが下がった、ACOSが悪化した、という変化を、検索語句、掲載面、クリック後行動、商品選定に分解して読む必要があります。
特に見落としやすいのは、表示だけが増えている語句、クリック後に売れていない商品、掲載面の構成変化、検索語句とキーワードのずれです。週次レビューでは、キャンペーン単位で異常値を見つけ、検索語句、掲載面、商品へ順番に降りていきます。
GoalTechでは、Amazon広告の週次レポートを、ACOSだけでなく利益、在庫、商品ページ、検索語句まで含めて整理します。広告レポートを見ても次の打ち手が決まらない場合は、Amazon広告運用診断としてご相談ください。