1. ACOS(広告費売上高比率)とは
ACOS(エーコス、またはエイコスと読む)は、Advertising Cost of Sales の略で、日本語では広告費売上高比率と訳されます。Amazon広告(スポンサープロダクト広告・スポンサーブランド広告など)のパフォーマンスを測定するために用いられる指標で、Amazon Adsの管理画面でも標準的に表示されます。
ACOSは「広告に使ったコストが、広告経由で生まれた売上の何%を占めているか」を示す数値です。値が低いほど、少ない広告費で多くの売上を上げていることを意味します。
Amazon Ads公式は、ACOSを「スポンサープロダクト広告やスポンサーブランド広告キャンペーンのパフォーマンスを測定するために使用される指標で、広告掲載商品の売上に対する広告費の比率」と定義しています。
Amazon広告で使われる主な指標の意味については、Amazon広告用語集も参考にしてください。
2. ACOSの計算方法
ACOSの計算式はシンプルです。
ACOS(%) = 広告費 ÷ 広告経由売上 × 100
具体例
項目 | 金額 |
|---|---|
広告費(1か月) | 50,000円 |
広告経由の売上 | 250,000円 |
ACOS | 20% |
計算: 50,000 ÷ 250,000 × 100 = 20%
この場合、広告で売上1円を得るために0.2円のコストがかかっている状態です。
もう一つの例として、広告費10,000円で広告経由売上が20,000円だった場合、ACOS = 10,000 ÷ 20,000 × 100 = 50% となります。同じ費用でも売上が倍になれば、ACOSは25%まで改善します。
指標の読み方や改善の方向性については、Amazon広告の指標の読み方ガイドで詳しく解説しています。
3. ACOSの目安
ACOSには公式な「正解の数字」はありません。Amazon Ads公式も、最適なACOSは商品の利益率・カテゴリー・広告の目的によって変わると説明しています。ネット上では「目安は20〜25%」といった数字も見かけますが、これはあくまで一部の商品・運用での一例にすぎません。目安を鵜呑みにせず、まず自社の損益分岐ACOS(後述)を基準に、目的に合わせて目標値を設計するのが基本です。
状況によって、許容できるACOSは大きく変わります。
局面ごとの目標ACOS設定例
以下は実務上の設計例であり、公式のベンチマークではありません。自社の利益率と目的に合わせて調整してください。
局面 | 目標ACOSの設定例 | 考え方 |
|---|---|---|
新商品の認知獲得期 | 損益分岐点付近〜やや上 | ランキング上昇・初期販売実績・認知獲得を優先 |
安定成長期 | 損益分岐点より下 | 売上規模と収益のバランスを重視 |
収益最大化期 | 損益分岐点より十分下 | 利益率を確保しながら運用 |
新商品を出品したばかりの時期は、オーガニック順位が低く広告への依存度が高くなるため、ACOSが高くても必要な投資と判断するケースがあります。一方、商品が成熟しオーガニック流入が増えてきたら、ACOSを引き締めて利益確保に移行するのが一般的な流れです。
4. ROASとの違い
ROASは Return on Ad Spend(広告費用対効果)の略で、次の式で求めます。
ROAS(%) = 広告経由売上 ÷ 広告費 × 100
なお、Amazon Adsの管理画面ではROASを「5.0」のような倍率で表示する場合もありますが、本記事ではわかりやすさのため%表記(ROAS 500%)で統一します。
ROASとACOSは、同じデータを分子・分母を入れ替えて表現した表裏一体の指標です。どちらを使っても本質的に同じ情報を伝えますが、ROASは「広告1円に対して何円の売上が得られたか」、ACOSは「売上1円を得るために広告費の何%を使ったか」という見せ方の違いがあります。
ACOSとROASの対応表
ACOS | ROAS | 意味 |
|---|---|---|
10% | 1,000%(10.0倍) | 広告1円で10円の売上 |
20% | 500%(5.0倍) | 広告1円で5円の売上 |
25% | 400%(4.0倍) | 広告1円で4円の売上 |
33.3% | 300%(3.0倍) | 広告1円で3円の売上 |
50% | 200%(2.0倍) | 広告1円で2円の売上 |
たとえば「ROAS 300%」と「ACOS 33.3%」は同じ状態を指しています。目標として「ROAS 400%以上を目指す」という言い方は「ACOS 25%以下に抑える」と同義です。
ROASの詳細な解説は、Amazon広告の指標の読み方ガイドをご覧ください。
5. TACOSとは
TACOSは Total Advertising Cost of Sales(トータルACOS)の略です。計算式はACOSと似ていますが、分母が「広告経由売上」ではなく「全体売上(広告経由+オーガニック)」になる点が異なります。
TACOS(%) = 広告費 ÷ 全体売上(広告経由売上+自然売上) × 100
ここでの「全体売上」は、同じ対象期間・同じ対象商品(またはブランド)の総売上を指します。広告経由の売上と、広告を経由しない自然売上の両方を含めて計算します。
ACOSとTACOSの違い
指標 | 分母 | 何を測るか |
|---|---|---|
ACOS | 広告経由売上 | 広告単体の費用対効果 |
TACOS | 全体売上 | ビジネス全体に対する広告依存度 |
TACOSを使う場面
TACOSのメリットは、広告がオーガニック売上に与える影響を間接的に把握する手がかりになる点にあります。
たとえば、ACOSが一定でもTACOSが月を追って低下していれば、広告が自然売上の増加に寄与している可能性があります。ただしTACOSの変動は、価格改定・在庫状況・セール・外部流入などでも起こります。検索順位・自然売上・ブランド検索の推移とあわせて確認しましょう。逆にACOSは改善しているのにTACOSが上昇している場合は、自然売上が減少して広告依存度が高まっている可能性があります。
新商品ローンチ後に「広告投資がどのくらいブランドの自走力につながっているか」を確認するうえで、TACOSは特に有効な補助指標です。
6. 目標ACOSの決め方
目標ACOSを感覚で設定してしまうと、広告費が利益を上回るリスクがあります。基本となるのは、利益率から損益分岐ACOSを算出するアプローチです。
損益分岐ACOSの計算
損益分岐ACOS(%) = 広告費を除いた利益率(%)
ここでの利益率は、販売価格から原価・Amazon販売手数料・FBA/配送費・クーポンや値引きなどの変動費を差し引いた後の利益割合を指します(広告費を引く前の段階)。ACOSがこの値を超えると、その広告経由売上は赤字になります。
計算例:
項目 | 数値 |
|---|---|
販売価格 | 10,000円 |
原価・Amazon手数料・配送費等の合計 | 7,000円 |
広告前利益 | 3,000円 |
広告前利益率 | 30% |
損益分岐ACOS | 30% |
この例ではACOS 30%が損益分岐点です。実際の目標ACOSは、利益を残すためにこれよりも低い水準に設定します(この例であれば20〜25%程度が一つの目安になります)。
目的別の目標設定
- 認知・ランキング獲得フェーズ: 損益分岐ACOS付近、または期間と上限を決めて多少超えても許容
- 利益確保フェーズ: 損益分岐ACOSより5〜10ポイント程度低い水準に設定
- 競合対策・シェア維持: カテゴリーのCPC・CVRや自社の利益率・過去の推移を見ながら調整
目標ACOSを設定したあとの入札調整や予算配分については、ACOSを下げる方法や予算・入札戦略も参照してください。キーワードの選定については、キーワード選定・マッチタイプで詳しく解説しています。
また、スポンサープロダクト広告を始めたばかりの方は、スポンサープロダクト広告の始め方から読み進めることをおすすめします。
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