ACOSが上がる主な原因
ACOSの定義と計算方法についてはACOSとは──計算式・目標値・改善の基本で詳しく解説しています。ここでは「なぜ上がるのか」に絞って整理します。
ACOSが高止まりする原因は大きく4つに分類できます。
1. 無駄クリック(関連性の低い検索語への出稿)
商品と無関係な検索語に広告が表示され、クリックだけ発生して購入に至らないケースです。オートキャンペーン開始直後や、部分一致キーワードを広く設定している場合に起きやすい状態です。
2. 商品ページのCVRが低い
クリックは適切に来ているのに購入につながらない状態です。主要画像の訴求力、価格競争力、レビュー数・評価、商品説明の完成度が影響します。広告の最適化だけでは解決できない問題です。
3. 入札額が高すぎる
競合入札に引きずられて入札を上げ続けた結果、CPCが収益性を上回ってしまうパターンです。特にプレースメント「検索結果のトップ」で入札調整を積み上げている場合に顕著です。
4. マッチタイプが整理されていない
オートキャンペーンや部分一致キーワードを使いっぱなしにしていると、意図しない検索語への出稿が増え続けます。マッチタイプの段階的な整理が必要です。
検索用語レポートを毎週確認する
ACOS改善の出発点は、実際に広告がどの検索語で表示・クリックされているかを把握することです。Amazon広告コンソールの「検索用語レポート」は、この分析に欠かせないデータソースです。
レポートの取得手順
- Amazon広告コンソールにサインインする。
- 左側のナビゲーションから「レポート」→「レポートを作成」を選択する。
- レポートの種類で「検索用語」を選択し、対象キャンペーン・期間(直近7〜14日間が目安)を指定する。
- 「レポートを実行」後、CSVファイルをダウンロードする。
見るべき指標
レポートでは次の列に注目します。
- クリック数:広告費が発生しているか
- 売上(広告売上高):購入につながっているか
- ACOS:検索語単位でのコスト効率
- コンバージョン率(CVR):クリックから購入への転換率
「クリック数が多いのに売上がゼロ」「ACOSが目標の2倍以上」の検索語が、最初に手を入れるべき対象です。
パフォーマンス指標の読み方の詳細はAmazon広告の指標の読み方──ACOS・ROAS・CTR・CVRの実践解釈を参照してください。
赤字検索語を除外キーワードに登録する
検索用語レポートで問題のある検索語を特定したら、除外キーワード(ネガティブキーワード)として登録します。これにより、該当の検索語、またはASIN・商品ターゲティング由来の不要な配信を、除外キーワードまたは除外商品ターゲットとして抑制でき、無駄な広告費を抑えられます。
除外の判断基準
一般的な目安として、一定のクリック数や広告費が発生したうえで目標ACOSを大きく上回る検索語(たとえば目標の2倍超)を除外候補にします。目標ACOSが20%であれば40%以上の検索語が候補です。クリック数が5〜10回以上あって購入がゼロの検索語も、同様に除外を検討します。これらは公式の基準ではなく実務上の目安であり、低クリック・低消化額の段階での早すぎる除外は避けます。
この作業を継続的に実施することで、無関係なクリックの抑制につながる場合があります。削減幅は商品カテゴリ、入札額、配信量、CVRによって変わります。
除外キーワードの登録手順
- 広告コンソールの「キャンペーン」から対象のキャンペーンを開く。
- 「ネガティブターゲティング」タブを選択する。
- 「除外キーワードを追加」をクリックし、除外したい検索語を入力する。
- マッチタイプを「完全一致」または「フレーズ一致」から選択して保存する。
キャンペーンレベルで設定すると、そのキャンペーン内のすべての広告グループに一括適用されます。広告グループが複数ある場合はキャンペーンレベルでの設定が効率的です。
除外キーワードのマッチタイプについては「完全一致」と「フレーズ一致」の2種類が使えます。特定の語句だけを除外するなら完全一致、その語句を含む幅広い検索語を除外するならフレーズ一致を選びます。なお、フレーズ一致は最大4語または80文字、完全一致は最大10語または80文字という制限があります。
公式ヘルプ: 除外キーワードまたは除外商品を追加する
マッチタイプの階層運用で無駄を絞り込む
キーワードのマッチタイプを整理することは、中長期のACOS改善に直結します。Amazon広告では「オートターゲティング」「部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」の4段階を組み合わせた運用が有効です。
4段階の役割分担
フェーズ | マッチタイプ | 目的 |
|---|---|---|
発掘 | オートターゲティング | 想定外の優良キーワードを自動で探す |
拾う | 部分一致 | 発掘したキーワード周辺の検索語をカバー |
絞る | フレーズ一致 | 関連性の高い検索パターンに絞り込む |
収益化 | 完全一致 | 実績が出た検索語を高精度で狙う |
運用フロー
- オートキャンペーンで検索語を収集する(2〜4週間)。
- 検索用語レポートを確認し、CVRや売上実績がある検索語を、まず完全一致またはフレーズ一致で手動キャンペーンへ追加する。周辺語を広げて新しい検索語を拾いたい場合だけ、別枠で部分一致を使う。
- 部分一致で新たに成果が出た検索語は、フレーズ一致→完全一致へ昇格させて収益化を高める。
- オートキャンペーンでパフォーマンスの悪い検索語は除外キーワードに登録する。手動キャンペーン側への反映は、同じ商品・同じ意図で不要と判断できる場合に限り、完全一致で成果を狙う語句まで除外しないよう確認する。
マッチタイプの詳細な設定方法はAmazonキーワード選定とマッチタイプの使い方で解説しています。
入札・プレースメントを調整する
除外キーワードの整理と並行して、入札額とプレースメント調整もACOS改善に効果的です。
高ACOSキーワードの入札を下げる
検索用語レポートや広告コンソールのキーワードレポートで、ACOSが高いキーワードを特定します。そのキーワードの入札額を10〜20%程度引き下げ、1〜2週間後に結果を確認します。大幅な一括変更よりも、段階的な調整の方がデータを読みやすくなります。
プレースメントを効率面に寄せる
Amazon広告には「検索結果のトップ」「商品ページ」「その他の検索結果」という3つのプレースメントがあります。プレースメント調整は基本入札額への上乗せ率(0%以上)で設定するため、プレースメントレポートで各プレースメントのACOSを確認し、上乗せ率を設定しているプレースメントで費用対効果が悪い場合は上乗せ率を下げます。上乗せ率が0%の場合は、ベース入札の見直しやキャンペーン分割で配信比率を調整します。
動的入札の設定を見直す
動的入札の「ダウンのみ(引き下げのみ)」を選択すると、コンバージョンの可能性が低いと判断された場合に入札を自動で引き下げてくれます。ACOS抑制を優先する場合は「ダウンのみ」を基本とし、売上拡大を狙うキャンペーンでは「アップとダウン(引き上げと引き下げ)」も検討します。ただし「アップとダウン」では販売可能性が高いクリックで入札が引き上げられ、広告費が増える可能性があります。
予算配分と入札戦略の全体像についてはAmazon広告の予算・入札戦略──配分の考え方と実践設定を参照してください。
商品ページのCVR改善と「下げすぎ」への注意
広告だけではACOSは下がりきらない
ACOSは「広告費 ÷ 広告経由の売上 × 100」で算出されます。分母である売上を増やすには、クリック後の購入率(CVR)を高めることが不可欠です。CVRに影響する主な要素は次のとおりです。
- メイン画像:商品の特徴が一目でわかるか
- 価格と価格競争力:競合と比較して購入の動機になるか
- レビューの数と評価:信頼性の担保になっているか
- タイトル・箇条書き・A+コンテンツ:購入判断に必要な情報が揃っているか
スポンサープロダクト広告の基本設定と商品ページの関係についてはスポンサープロダクト広告の始め方も参考になります。
ACOSを下げすぎると起きること
ACOS削減を急いで入札を大幅に下げると、広告の表示回数(インプレッション)が激減し、売上機会を失います。特に新商品やレビューが少ない商品では、露出と販売実績を確保しにくくなり、自然検索での伸びにも影響する可能性があります。
目標ACOSはあくまで「収益性を確保しながら成長できる水準」であって、可能な限り低くするものではありません。カテゴリ平均や利益率を踏まえた現実的な目標を設定したうえで最適化を進めましょう。
インプレッション改善についてはインプレッション増加の改善方法も参照してください。
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