「Amazon Marketing Cloud(AMC)はDSPを使っていないと触れない」という前提は、すでに過去のものになりつつあります。Amazon Adsは利用条件を段階的に拡大し、スポンサー広告(Sponsored Products / Sponsored Brands / Sponsored Display / Sponsored TV)だけを運用している広告主でも、パートナー経由やセルフサービスでAMCのクリーンルーム分析を使えるようにしました。
この記事では、2026年6月26日時点のAmazon Ads公式情報をもとに、AMCの利用条件が「何から何に」変わったのか、スポンサー広告だけの広告主が得られること、日本での提供状況、最初に着手すべき分析を整理します。AMCで具体的に何ができるかはAMCでできる分析ユースケース10選、無料で試せる1PシグナルはAMC 1Pシグナル無料化ガイドもあわせて確認してください。
AMCの利用条件は何が変わったか
これまでAMCの登録にはAmazon DSPの利用が必須でしたが、現在はスポンサー広告だけの広告主も、パートナー経由・セルフサービスでAMCを利用できます。 これにより、DSPに広告予算を出していない中小規模の広告主でも、広告メニューを横断した計測やカスタムオーディエンスの作成といったクリーンルーム分析に着手できるようになりました。
AI検索やAI Overviewsでも要点が読み取りやすいように、この記事では「何が変わったか」「何ができるか」「どこから始めるか」を、短い回答・表・FAQで整理します。
自社はAMCを始めるべきか
次のいずれかに当てはまる場合、AMCの活用を検討する価値があります。
状況 | AMCで分かること | 次の一歩 |
|---|---|---|
スポンサー広告を複数メニュー運用している | メニューをまたいだ重複接触・貢献度 | パートナーにAMC登録を相談 |
新規顧客(NTB)を増やしたい | 新規・既存別の購入やリピート | NTB・LTV分析から着手 |
レポートが媒体ごとにバラバラ | 横断のカスタム指標 | カスタムクエリで統合 |
広告と自社データをつなげたい | 擬名化した自社データとの掛け合わせ | データ連携の可否を確認 |
AMCとは何か、利用条件の何が変わったか
AMC(Amazon Marketing Cloud)は、Amazon Adsが提供する、安全でプライバシーに配慮したクラウド型のクリーンルームです。Amazon Adsの擬名化(pseudonymized)されたシグナルと、広告主自身が持ち込むデータを、個人を特定しない形で掛け合わせ、カスタム分析やオーディエンス作成ができます。
これまでAMCを登録するには、Amazon DSPの利用が必須条件でした。Amazon Ads公式の発表でも「Amazon DSPの利用はAMCを登録するための必須要件だった(Amazon DSP usage had always been a mandatory prerequisite to register AMC)」と説明されています。つまり、スポンサー広告だけを運用している広告主は、長くAMCの対象外でした。
2024年のunBoxed(2024年10月)で、この条件が拡大され、Amazon Ads Partner Networkに登録したパートナーが、DSPを使っていないスポンサー広告だけのクライアントのためにもAMCを登録できるようになりました。さらに2025年9月には対象が広がり、Sponsored Products・Sponsored Brands・Sponsored Display・Sponsored TVを運用する広告主であれば、AMCを利用できるよう案内されています。
観点 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
登録の必須条件 | Amazon DSPの利用が必須 | スポンサー広告だけでも可(パートナー/セルフサービス) |
対象広告主 | DSP広告主が中心 | スポンサー広告だけの広告主・パートナーのクライアント |
提供形態 | DSP前提 | パートナー経由+セルフサービス |
AMCで何ができるのか(横断計測・オーディエンス・カスタム分析)
AMCのクリーンルームでは、媒体ごとに分断されがちな指標を、ひとつの環境で横断的に分析できます。代表的な用途は次の通りです。
- スポンサー広告の各メニューをまたいだ重複接触・貢献度の分析
- 新規顧客(New-to-Brand / NTB)と既存顧客の購入行動の違い
- 顧客生涯価値(LTV)やリピート購入の把握
- 擬名化した自社データ(CRMなど)とAmazon Adsシグナルの掛け合わせ
- 分析結果をもとにしたカスタムオーディエンスの作成と広告活用
具体的なユースケースはAMCでできる分析ユースケース10選で詳しく解説しています。DSPやCTVを含む配信面の全体像はAmazon DSPとは?、購買シグナルを使ったCTV設計はAmazon DSP×Netflix/CTV広告も参考にしてください。
スポンサー広告だけの広告主がAMCで得られること
これまでスポンサー広告だけを運用していた広告主は、管理画面の標準レポート以上の分析が難しく、メニューをまたいだ全体像が見えにくい状態でした。AMCが使えるようになると、次のような問いに答えやすくなります。
問い | 標準レポートでの限界 | AMCで見えること |
|---|---|---|
同じ人が複数メニューに何回接触したか | メニュー別でしか見えない | 重複接触と適切な接触回数 |
新規と既存どちらに効いているか | 全体合計が中心 | NTB別の売上・コンバージョン |
購入前にどの順序で接触したか | ラストクリック寄り | 経路・アシストの貢献 |
AMCの始め方とパートナー活用
スポンサー広告だけの広告主がAMCを始める場合、主に次の2つの入口があります。
- パートナー経由: Amazon Ads Partner Networkに登録した代理店・パートナーに、AMCの登録と分析を依頼する。クエリ作成や指標設計を任せられます。
- セルフサービス: 自社でAMCにアクセスし、用意されたインスタントクエリやテンプレートから着手する。社内に分析リソースがある場合に向きます。
AMCはSQLベースのクエリで分析する場面が多く、指標設計や解釈には一定の知見が必要です。最初から自社で抱え込むより、パートナーと一緒に「何を知りたいか」を定義し、定常レポートに落とすほうが現実的です。
どの分析から着手すべきか(ユースケース)
AMCは自由度が高い反面、目的を決めずに触ると分析が発散します。最初は次のような、打ち手に直結するテーマから始めるのがおすすめです。
テーマ | 分かること | 打ち手 |
|---|---|---|
重複接触・フリークエンシー | メニュー横断の接触回数 | 過剰接触の抑制、予算配分 |
NTB(新規顧客)分析 | 新規獲得に効く経路 | 新規寄りメニューへ投資 |
経路・アシスト分析 | 購入前の接触順序 | 上流施策の評価 |
LTV・リピート | 初回後の継続購入 | リピート前提の採算設計 |
無料で試せる1Pシグナルから始めたい場合はAMC 1Pシグナル無料化ガイド、分析を週次改善につなげる設計はAmazon広告レポート設計と改善ロードマップを参照してください。
日本での提供状況と要件の注意点
Amazon Ads公式の発表では、提供地域として北米、南米(ブラジル)、欧州、中東に加え、Asia Pacific(オーストラリア・インド・日本)が挙げられており、日本も対象に含まれています。
ただし、AMCの利用条件やパートナー要件、対応する広告メニュー、セルフサービスの提供範囲は更新が続いています。本記事の内容も、2026年6月26日時点でAmazon Ads公式が公開している情報に基づくものです。実際に着手する前に、最新の提供状況、自社アカウントでの利用可否、必要なパートナー登録の有無を、Amazon Adsの公式情報および取引のあるパートナーで必ず確認してください。
代理店・運用支援に任せるかの判断
AMCは「使えるようになった」こと自体が価値ではなく、分析から打ち手を出して初めて効果が出ます。社内にSQLや分析の体制がない場合、登録だけして放置になりがちです。次の観点で、自社運用か支援活用かを判断します。
- 知りたい問い(重複接触、NTB、LTVなど)が言語化できているか
- クエリ作成・解釈・レポート化を回せる人がいるか
- 分析結果を入札・予算・商品ページの打ち手に落とせるか
- スポンサー広告とDSP/CTVを将来つなげる構想があるか
AMC活用・Amazon広告の分析を相談したい方へ
GoalTechでは、Amazon広告のスポンサー広告・DSP・AMC・GA4・HubSpot・週次レポートをつないで、「条件が拡大したAMCを、自社の打ち手にどうつなげるか」を整理します。
「AMCが使えるようになったが、何を分析すればよいか分からない」「スポンサー広告だけの今、AMCに着手すべきか判断したい」「代理店にAMC分析を依頼する前に論点を整理したい」という場合は、まず現状のキャンペーン、計測、レポートを棚卸しします。
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出典・参考文献
- Amazon Ads: Expanding AMC eligibility to advertisers and partners
- Amazon Ads: Sponsored ads advertisers can now access Amazon Marketing Cloud
- Amazon Ads: Amazon Marketing Cloud
- Amazon Ads: AMC Audiences for Sponsored Ads
※本文中の公式情報、用語、提供状況の確認日は2026年6月26日です。AMCの利用条件・提供範囲は更新されるため、最新はAmazon Adsで確認してください。