なぜキーワード設計が重要なのか
Amazon広告(スポンサープロダクト広告など)は、購入者の検索クエリと設定キーワードが合致したときに広告が表示される「検索連動型」の仕組みです。つまり、キーワードの質が、そのまま露出できる検索需要の範囲と広告費の効率を決めることになります。
キーワード選定が適切でないと、次のような問題が起きます。
- 関係性の薄い検索クエリに広告費を消化し、ACOSが上昇する
- 本来狙うべき検索クエリに広告が表示されず、機会損失が生まれる
- 入札が分散し、有力キーワードで競争力のある入札ができなくなる
ACOSの意味や目標値の設定についてはACOSとは──Amazon広告の広告費売上比率を理解するで詳しく説明しています。また、広告の主要指標の読み方はAmazon広告の指標の読み方を参照してください。
キーワード設計は「一度決めたら終わり」ではなく、データをもとに継続的に改善するサイクルが不可欠です。本記事では、その土台となる知識と実践的な運用の流れを解説します。
キーワードの見つけ方──オートターゲティングと検索用語レポートを活用する
ステップ1:オートターゲティングキャンペーンで検索需要を収集する
キーワード設計の出発点は、「購入者が実際にどのような言葉で検索しているか」を把握することです。Amazonが推奨する方法の一つが、スポンサープロダクト広告のオートターゲティングを活用した需要調査です。
オートターゲティングでは、Amazonのアルゴリズムが商品ページの情報をもとに、関連性の高いと判断した検索クエリに自動で広告を表示します。広告主が事前にキーワードを指定しなくてよいため、自分では思いつかなかった検索クエリを発見するのに向いています。
スポンサープロダクト広告の基本的な設定手順はスポンサープロダクト広告の始め方をご覧ください。
ステップ2:検索ワードレポートで勝ちキーワードを特定する
オートターゲティングキャンペーンを2〜4週間ほど運用したら、Amazonのレポート機能から検索ワードレポートをダウンロードします。このレポートには、実際に広告が表示された検索クエリと、クリック数・注文件数・広告費・ACOSなどの指標が記録されています。
レポートを見るときの着目ポイントは以下のとおりです。
- 注文が発生しているクエリ:そのままマニュアルターゲティングのキーワードに昇格させる候補
- クリックは多いが注文がないクエリ:関連性が薄い可能性があり、除外キーワードの候補
- インプレッションが多く、クリックが少ないクエリ:訴求内容の見直しが必要な可能性
ステップ3:競合・自社商品ページからもキーワードを抽出する
オートターゲティングで収集したデータに加え、次のソースからもキーワードを補完できます。
- 競合商品の商品タイトル・箇条書き(バレットポイント):購入者が検索しそうな表現が多く含まれています
- 自社商品ページのSEO最適化済みテキスト:すでに検索需要に合わせた言葉が使われているはずです
- Amazonの検索窓のサジェスト:実際に購入者が入力している候補語を確認できます
- Amazon Ads公式のキーワード提案機能:マニュアルキャンペーン作成時にAmazonが関連キーワードを提案します
マッチタイプの違い──部分一致・フレーズ一致・完全一致
Amazon広告のマニュアルターゲティングには、「部分一致(ブロード)」「フレーズ一致」「完全一致(エグザクト)」の3種類のマッチタイプがあります。それぞれ広告が表示される検索クエリの範囲(リーチ)と精度が異なります。なお、スポンサープロダクト広告のオートターゲティングはマッチタイプではなく「ターゲティンググループ」で制御し、スポンサーブランド広告では「絞り込み部分一致」も利用できます。
マッチタイプ | 表示される検索クエリの範囲 | 精度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
部分一致(ブロード) | 最も広い。語順・単数複数・類義語・関連語も含む | 低〜中 | 多くのクエリに露出。発見フェーズ向き |
フレーズ一致 | 中程度。キーワードのフレーズを含む検索クエリ | 中 | ロングテールキーワードを捕捉しやすい |
完全一致(エグザクト) | 最も狭い。設定語句とほぼ一致するクエリのみ | 高 | CVR重視。勝ちキーワードの収益化向き |
部分一致(ブロード)
部分一致は最も制限が少なく、設定したキーワードの語句が含まれていなくても、Amazonが関連性ありと判断した検索クエリに広告を表示します。単数・複数形の違い、類義語、関連語にも広告が出るため、インプレッション数が最大化されます。
その分、想定外のクエリで広告費が消費されるリスクも高く、ACOSが高くなりやすい傾向があります。キーワード発掘フェーズでの活用が中心になります。
フレーズ一致
フレーズ一致は、設定したキーワードを一定の語順で含む検索クエリに広告を表示します。部分一致より絞り込まれるため、精度が上がります。「○○ 購入」「○○ 送料無料」のようなロングテールキーワードを捕捉しやすく、検討フェーズのユーザーへのアプローチに向いています。
完全一致(エグザクト)
完全一致は3つの中で最も精度が高く、設定したキーワードや語順が一致する検索クエリに広告が表示されます。なお公式仕様では、完全一致・フレーズ一致いずれもスペルミス・複数形・略語・翻訳などの類似バリエーション(クロスバリアント)が対象に含まれます。表示される母数は減りますが、検索意図との一致度が高いため、コンバージョン率が上がりやすい傾向があります。
検索ワードレポートなどで成果を確認済みのキーワードを完全一致で指定し、確実に収益に結びつける使い方が基本です。
4段階の育成運用──オートで発掘し、完全一致で収益化する
マッチタイプの違いを理解したうえで、実務では以下の4段階の流れで運用するのが効果的です。
第1段階:オートターゲティングで検索需要を発掘する
新商品の立ち上げや、これまでキーワードを分析したことがない商品では、まずオートターゲティングキャンペーンを走らせます。日次予算は控えめに設定し、2〜4週間のデータを蓄積します。この段階ではACOSが高くなっても、データ収集を優先する判断をします。
第2段階:部分一致で広く拾い、データを増やす
オートターゲティングで発見した候補キーワードをマニュアルキャンペーンの部分一致で登録します。オートより細かくビッドを調整できるため、徐々にACOSをコントロールしながらデータを蓄積できます。
入札戦略の考え方については予算・入札戦略の基本でまとめています。
第3段階:フレーズ一致で絞り込み、精度を上げる
部分一致で一定の成果が出てきたキーワードをフレーズ一致でも設定し、より関連性の高い検索クエリに絞り込みます。部分一致・フレーズ一致・完全一致を同じキャンペーン内に混在させると管理が複雑になるため、マッチタイプ別にキャンペーンまたは広告グループを分けることを推奨します。
第4段階:完全一致で勝ちキーワードを収益化する
データが積み上がり「注文が安定して発生している」「ACOSが目標値以内に収まっている」と判断できたキーワードは、完全一致に昇格させます。完全一致にすることで無駄な表示を削りながら、そのキーワードへの集中投資が可能になります。
このサイクルを2週間単位で回し、パフォーマンスをレポートで確認しながら入れ替えていくのが実務での基本サイクルです。ACOSを下げる具体的な施策についてはACOSを下げる方法も参考にしてください。
除外キーワードと商品ターゲティング──無駄打ち防止の仕組み
除外キーワードで不要な表示を止める
キーワードを広く設定するほど、関連性の薄い検索クエリに広告が表示される確率が上がります。この「無駄打ち」を防ぐのが除外キーワード(ネガティブターゲティング)です。
検索ワードレポートを確認し、次のようなクエリを除外キーワードに設定することを検討します。
- 商品と無関係なジャンルのクエリ(例:全く異なるカテゴリーの商品名)
- 過去に多くのクリックを消費したが注文に至らなかったクエリ
- 競合ブランド名など、意図しない検索に対するクエリ
除外キーワードはフレーズ一致または完全一致で設定します。除外の範囲を広げすぎると必要な露出まで失うため、データを確認しながら慎重に追加するのが基本です。
商品ターゲティングでASIN・カテゴリーを狙う
スポンサープロダクト広告では、キーワードではなく特定のASIN(商品ID)やカテゴリーを直接ターゲットに指定する「商品ターゲティング」も利用できます。
商品ターゲティングの活用シーン:
- 競合商品ページに広告を表示する:競合品を閲覧中の購入者に自社商品を訴求する
- 自社の関連商品ページに表示する:クロスセルや上位モデルへの誘導
- カテゴリー全体をターゲットにする:認知拡大を目的とした広範な露出
ASINを絞り込む場合は、価格帯・評価(レビュー星数)・Prime対応などの条件でフィルタリングする機能も利用できます。カテゴリーターゲティングは露出範囲が広くなるため、最初は予算を抑えながら効果を検証するのがよいでしょう。
運用サイクル──2週間で見直し、勝ちキーワードを昇格させる
キーワード運用の改善は、一定のサイクルで定期的に実施する必要があります。目安は2週間に1回の見直しです。以下の手順で進めるとスムーズです。
- 検索ワードレポートをダウンロードする(集計期間:直近2〜4週間)
- 注文が発生しているクエリを抽出する(これが昇格候補)
- ACOSが目標値を大幅に超えているクエリを確認する(除外候補)
- 昇格候補をより精度の高いマッチタイプに移す(部分→フレーズ、フレーズ→完全)
- 除外候補をネガティブターゲティングに追加する
- 入札単価を調整する(パフォーマンスの高いキーワードは入札を上げ、低いものは下げる)
このサイクルを繰り返すことで、時間をかけてキーワードリストが最適化され、費用対効果が改善されていきます。
また、季節イベント(プライムデー・年末商戦など)や競合の動向によってパフォーマンスが変動することがあります。大型セール前後は通常より短い頻度でデータを確認し、必要に応じて入札やキーワードの調整を行うことを推奨します。
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