Amazon広告キャンペーン構成テンプレート:SP/SB/SD/DSPを目的別にどう分けるか

Amazon広告で成果が安定しない原因は、入札やキーワードだけではありません。キャンペーン構成そのものが混ざっていると、何が勝っていて、何が無駄なのかが見えなくなります。

たとえば、新規顧客を広げるキャンペーン、指名検索を守るキャンペーン、競合商品ページで比較検討を取るキャンペーン、リマーケティングで戻すキャンペーンを同じ基準で見ると、ACOSやROASの判断がぶれます。

この記事では、Sponsored Products(SP)、Sponsored Brands(SB)、Sponsored Display(SD)、Amazon DSPを、目的別にどう分けるかをテンプレート化します。すでに広告を出している事業者が、週次改善や予算配分に使える構成を想定しています。

まず広告メニューの役割を分ける

Amazon広告の構成を考える前に、各メニューの役割を整理します。

Sponsored Productsは、商品単位で購買直前のユーザーに近づきやすい広告です。Amazon Ads公式では、キーワードターゲティング、商品ターゲティング、自動ターゲティングなどを使い、商品をショッピング結果や商品詳細ページで表示できる広告として説明されています。

Sponsored Brandsは、ブランドロゴ、見出し、複数商品、ストアなどを使って、ブランドや商品群を見せる広告です。個別商品の売上だけでなく、ブランド指名、ストア導線、カテゴリ内での認知にも向いています。

Sponsored Displayは、商品・カテゴリ・オーディエンスなどを使い、Amazon内外で比較検討中のユーザーや関連商品を見ているユーザーに接触する広告です。Amazon DSPは、より広い配信面、オーディエンス、計測、フルファネルの設計に向いた広告基盤です。

まずは既存記事の Amazon広告の種類と選び方 を親記事として、この記事ではその先の「構成の型」に絞ります。

目的別テンプレート

Template 1. Protect:指名・ブランド防衛

指名検索やブランド名、主力商品名を守るキャンペーンです。競合にブランド検索を取られないようにしつつ、既存顧客・比較検討中の顧客を確実に自社商品へ戻します。

項目

推奨構成

主な広告

SP / SB

ターゲティング

ブランド名、商品名、型番、主力ASIN

目的

指名検索の防衛、購入直前の取りこぼし防止

主なKPI

ROAS、ACOS、CVR、指名語句の占有

注意点

高ROASになりやすいため、全体成果を過大評価しない

Protectキャンペーンは成果が良く見えやすい一方で、新規顧客を増やしているとは限りません。週次レポートでは、指名系と非指名系を必ず分けて見ます。

Template 2. Discover:検索語句の発見

新しい検索語句や商品ターゲットを見つけるためのキャンペーンです。Amazon Ads公式のSponsored Productsターゲティングガイドでも、最初は自動ターゲティングを使い、検索語句レポートから有望なキーワードを手動キャンペーンへ展開する流れが紹介されています。

項目

推奨構成

主な広告

SP自動ターゲティング

ターゲティング

close match / loose match / substitutes / complements

目的

検索語句、ASIN、カテゴリの発見

主なKPI

新規検索語句、クリック、注文、ACOS

注意点

採算回収ではなく発見目的。予算上限を決める

Discoverは「学習用」と割り切ります。売れた語句は手動キャンペーンへ移し、無駄な語句は除外候補にします。検索語句の扱いは、Amazon広告のキーワード選定とマッチタイプ戦略AmazonのACOSを下げる方法 につながります。

Template 3. Convert:勝ち語句の獲得

Discoverで見つけた勝ち語句を、手動キャンペーンで取りにいく構成です。完全一致、フレーズ一致、商品ターゲティングなどを使い、成果の出る検索意図に予算を寄せます。

項目

推奨構成

主な広告

SP手動 / SB

ターゲティング

完全一致、フレーズ一致、商品ターゲティング

目的

売上・利益の獲得

主なKPI

ACOS、ROAS、CVR、CPC

注意点

語句・ASINを絞り、判断しやすくする

Convertキャンペーンでは、1つのキャンペーンに広すぎる語句を詰め込まないことが重要です。高ROAS語句と高ACOS語句が混ざると、平均値では良く見えても、実際には無駄な広告費が残ります。

Template 4. Scale:カテゴリ拡張・競合攻略

一定の勝ち筋が見えたら、カテゴリキーワード、競合ASIN、関連カテゴリへ広げます。ここでは、SPの商品ターゲティング、SBの商品・キーワードターゲティング、SDのコンテキストターゲティングが候補になります。

項目

推奨構成

主な広告

SP / SB / SD

ターゲティング

カテゴリ、競合ASIN、関連商品、比較検討語句

目的

新規顧客、比較検討層、カテゴリ内接触

主なKPI

CTR、CPC、CVR、New-to-brand指標

注意点

ProtectやConvertと同じACOS基準で切らない

Scaleは、利益回収だけでなく、比較検討での接触を増やす役割があります。Sponsored DisplayやDSPを使う場合は、短期CVだけでなく、再訪、ブランド検索、LP訪問、後日の購入も見ます。

Template 5. Retarget:再接触・リマーケティング

商品ページを見たが買わなかったユーザー、関連商品を見ているユーザー、過去購入者などに再接触する構成です。Sponsored DisplayやAmazon DSPが候補になります。

項目

推奨構成

主な広告

SD / Amazon DSP

ターゲティング

商品閲覧、購入、類似・関連オーディエンス

目的

再訪、比較検討、購入後の関連購入

主なKPI

view-through含む成果、ROAS、再訪、購入

注意点

SPと同じクリックCVだけで評価しない

Amazon DSPは、Amazon Audiences、広告主のオーディエンス、サードパーティオーディエンスなどを使った配信が可能と説明されています。DSPは単独で考えるより、SP/SB/SDで取れている検索・商品接触を、上位ファネルや再接触にどう広げるかで考えると設計しやすくなります。

実務で使うキャンペーン構成例

以下は、Amazon広告をすでに出しているEC事業者向けの最小構成です。

Campaign group

Ad type

Target

Budget role

Review

Protect Brand

SP / SB

ブランド名・商品名

小〜中、安定維持

指名防衛、ROAS

Discover Auto

SP Auto

自動ターゲティング

小、探索上限あり

検索語句発見

Convert Exact

SP Manual

完全一致・高CV語句

中〜大、勝ち筋集中

ACOS / ROAS

Product Targeting

SP / SD

競合ASIN・関連ASIN

中、比較検討

CTR / CVR

Category Scale

SB / SD

カテゴリ・非指名語句

小〜中、拡張

CTR / 新規接触

Retarget

SD / DSP

閲覧者・関連オーディエンス

小〜中、再接触

再訪 / ROAS

最初からすべて作る必要はありません。まずはProtect、Discover、Convertの3つを分けるだけでも、週次改善がかなり楽になります。そのうえで、カテゴリ拡張やリターゲティングを追加します。

予算配分の考え方

予算配分は、商品フェーズと目的で変えます。新商品ならDiscoverとScaleに一定の学習予算を置きます。既存主力商品ならConvertとProtectを厚くします。利益回収フェーズなら、ROASが損益分岐を上回るキャンペーンに寄せます。

目安としては、次のように考えます。

フェーズ

Protect

Discover

Convert

Scale / Retarget

新商品立ち上げ

10%

30%

30%

30%

既存商品の改善

15%

15%

50%

20%

利益回収

20%

10%

60%

10%

ブランド拡大

10%

20%

30%

40%

これは固定ルールではありません。実際には、Amazon広告の週次改善チェックリストで見るように、ACOS、ROAS、CTR、CVR、検索語句を見ながら、勝っているキャンペーンへ寄せていきます。

Amazon Adsの予算・入札ルールでは、特定期間や成果条件に応じて予算や入札を調整できます。ただし、ルールを入れる前に、どのキャンペーンがProtectで、どれがDiscoverで、どれがConvertなのかを分けておくことが前提です。

まとめ

Amazon広告のキャンペーン構成は、広告メニューごとに分けるだけでは不十分です。重要なのは、目的別に分けることです。

指名検索を守るProtect、検索語句を見つけるDiscover、勝ち語句を取りにいくConvert、カテゴリや競合へ広げるScale、再接触するRetargetを分けると、週次レビューで見る数字が明確になります。

構成が整理されると、ACOSが高いキャンペーンをすぐ止めるのではなく、「これは探索目的だから許容する」「これは利益回収目的だから入札を下げる」「これは勝ち筋だから予算を増やす」と判断できます。Amazon広告の改善は、細かい入札調整の前に、まず構成を整えるところから始まります。

出典・参考文献