楽天市場とAmazonは、どちらもECモール内で購買に近いユーザーへ広告を出せる重要な媒体です。ただし、同じ「モール広告」としてまとめて考えると、予算配分や改善指標を間違えやすくなります。

Amazon広告は、スポンサープロダクト広告、スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告、Amazon DSPなどを軸に、ASIN単位、ブランド単位、オーディエンス単位で設計しやすい媒体です。一方で楽天広告は、楽天市場内の検索連動型広告(RPP)や、楽天グループのID・購買データを活用するRMP系広告など、店舗運営・販促・楽天経済圏のデータ活用が強く関わります。

この記事では、2026年6月12日時点で確認できる公式情報を前提に、楽天広告とAmazon広告の違いを実務目線で整理します。Amazon側の基本は Amazon広告の種類と選び方Amazon広告キャンペーン構成テンプレート もあわせて確認してください。

楽天広告の主な種類

楽天広告は、対象者によって大きく見え方が変わります。楽天市場に出店している店舗向けの広告と、メーカー・ブランド・一般広告主向けの広告が混在しているためです。

実務では、まず次のように分けて考えると整理しやすいです。

種類

主な対象

役割

Amazon側で近い考え方

検索連動型広告(RPP)

楽天市場出店店舗

検索結果などで商品露出を増やす

スポンサープロダクト広告

RPP-EXP

楽天市場関連の獲得拡張

楽天市場外も含めた獲得補完

外部配信を含む商品広告

Sales Expansion

メーカー企業

楽天市場検索結果で自社商品を露出

メーカー主導の検索広告

RMP - Display Ads

広告主・ブランド

認知から購買までのディスプレイ配信

Amazon DSP / ディスプレイ広告

RMP - Unified Ads

広告主・ブランド

楽天グループや外部提携メディアへの運用型配信

DSP的な運用型配信

楽天メーカーソリューションナビでは、検索連動型広告(RPP)について、RMS上の商品から自動的に選ばれた商品が楽天市場の検索結果などに配信され、クリックされた場合に広告費が発生する広告と説明されています。楽天の購買データや閲覧データを用いて、検索キーワードに合う商品を選定する点も特徴です。

一方、Rakuten Marketing Platform(RMP)naviでは、楽天IDによるターゲティングや分析、楽天グループサービス、外部提携メディアへの配信、購買データを活用したターゲティングや効果測定が説明されています。ここは、楽天市場の店舗向け広告というより、楽天データを活用した広告主向けソリューションとして見た方が自然です。

Amazon広告との違い

Amazon広告は、商品とブランドを広告管理の中心に置きやすい媒体です。Amazon Ads公式では、スポンサープロダクト広告を、Amazon内および一部のプレミアムアプリやWebサイトで個々の出品商品を訴求するクリック課金制広告と説明しています。スポンサーブランド広告は、ブランドの動画、画像、コレクションなどでブランド発見を支援する広告です。

楽天広告とAmazon広告の違いは、広告メニュー名よりも、設計の起点に出ます。

比較軸

楽天広告

Amazon広告

設計の起点

店舗、商品、イベント、楽天データ

ASIN、ブランド、検索語句、購買シグナル

刈り取り広告

RPPなどの検索連動型広告

スポンサープロダクト広告

ブランド訴求

RMP、TDA系、店舗企画、楽天内販促

スポンサーブランド広告、Stores、動画広告

ディスプレイ

RMP - Display Ads / Unified Ads

ディスプレイ広告、Amazon DSP

改善単位

店舗全体、商品、イベント、クーポン、回遊

ASIN、広告グループ、検索語句、商品詳細ページ

注意点

セール・ポイント・クーポンと利益を一緒に見る

ACOSだけでなく在庫、商品ページ、NTBも見る

楽天は、広告だけで完結するより、楽天市場内のイベント、ポイント、クーポン、レビュー、店舗ページ、メルマガ、商品ページ改善と合わせて見た方が成果を判断しやすいです。Amazonは、ASIN単位の広告成果が見えやすい反面、商品詳細ページ、レビュー、価格、在庫、カート獲得状況の影響を強く受けます。

目的別の使い分け

最初から「楽天とAmazonのどちらに予算を寄せるか」で考えるより、広告の役割を分ける方が判断しやすくなります。

目的

楽天で見る広告

Amazonで見る広告

判断ポイント

検索経由の売上を増やす

RPP

スポンサープロダクト広告

検索語句、CPC、CVR、粗利

ブランドを覚えてもらう

RMP系ディスプレイ、店舗企画

スポンサーブランド広告、動画広告

指名検索、回遊、ブランド新規顧客

セール時に露出を増やす

RPP、セール掲載、クーポン施策

スポンサープロダクト広告、SB動画

在庫、利益率、イベント後のリピート

新商品を立ち上げる

検索連動、店舗内導線、販促施策

SP、SB、商品ページ改善

初速レビュー、CTR、CVR

モール外も含めて拡張する

RMP - Unified Ads / Display Ads

Amazon DSP、ディスプレイ広告

到達範囲、計測、重複接触

楽天市場で売れている商品は、RPPだけでなく、イベント・クーポン・商品ページ・ランキング導線と合わせて伸ばします。Amazonで売れている商品は、スポンサープロダクト広告で成果語句を伸ばし、スポンサーブランド広告やDSPでブランドの上流接触を補う流れが作りやすいです。

予算配分の考え方

楽天広告とAmazon広告を同時に運用する場合、同じROAS目標をそのまま横並びで置くのは危険です。手数料、ポイント、クーポン、FBA・物流費、モールイベント、在庫回転が異なるためです。

まずは次の順で整理します。

Step

確認すること

見る数字

1

商品別の粗利を出す

売価、原価、手数料、送料、ポイント、クーポン

2

モール別の利益許容CPAを決める

許容広告費、限界ROAS、目標ACOS

3

刈り取り広告の最低予算を確保する

RPP、スポンサープロダクト広告

4

セール・認知予算を別枠にする

RMP、SB、DSP、動画広告

5

月次で媒体別ではなく商品別に見直す

商品別利益、在庫、リピート、指名検索

特に楽天では、広告費だけでなくポイント原資やクーポン原資が利益を圧迫します。Amazonでは、広告費が合っていても、在庫切れや商品詳細ページの転換率低下で広告効率が崩れることがあります。

そのため、媒体別の広告レポートだけでなく、商品別の粗利表を先に持つことが重要です。広告運用の改善は、CPCを下げるだけではなく、どの商品にいくらまで広告費をかけられるかを決める作業でもあります。

運用開始時のチェックリスト

楽天広告とAmazon広告を並行して動かす前に、次のチェックを済ませておくと、後から数字が崩れにくくなります。

チェック項目

楽天

Amazon

商品別粗利

ポイント・クーポン込みで確認

FBA費用・返品・在庫込みで確認

商品ページ

商品名、画像、レビュー、イベント訴求

商品名、画像、A+、レビュー、価格

検索広告

RPPの対象商品と除外商品を整理

SPのキーワード、商品ターゲティングを整理

ブランド訴求

店舗ページ、RMP、販促企画

SB、Stores、動画、DSP

レポート

店舗全体と商品別を分ける

ASIN、検索語句、広告グループで見る

週次改善

セール影響と通常日を分ける

検索語句、ACOS、CVR、在庫を見る

最初の1か月は、全商品に広く広告費をかけるより、勝ち筋のある商品を絞る方が改善しやすいです。楽天ではRPPの対象商品と除外商品、Amazonではスポンサープロダクト広告のキャンペーン構成と検索語句レポートを優先して整えます。

まとめ

楽天広告とAmazon広告は、どちらも購買に近いユーザーへ接触できる強い媒体です。ただし、設計思想は同じではありません。

楽天広告は、楽天市場の店舗運営、イベント、クーポン、ポイント、楽天データを含めた販促設計として見ます。Amazon広告は、ASIN、検索語句、ブランド、DSP、商品詳細ページをつなげた広告設計として見ます。

媒体を増やす前に、商品別の粗利、許容広告費、広告の役割、週次で見る指標を決めることが大切です。GoalTechでは、Amazon広告だけでなく、楽天市場を含むECモール広告の予算配分、商品別採算、広告構成の整理を支援しています。楽天とAmazonを同時に伸ばしたい場合は、EC広告運用相談としてご相談ください。

出典・参考文献