Amazon Adsは2026年6月8日、スポンサー広告やAmazon DSPを横断してレポートを作れる「統合レポート」をGA(一般公開)しました。従来のスポンサー広告レポートとAmazon DSPレポートは、2026年12月31日に廃止予定です。旧画面に残る保存済みレポート、定期レポート、履歴データも同日に削除されると案内されています。[1][2]

終了日まで待たず、現在のレポートを棚卸しし、新旧の定義と数値を照合してから切り替える必要があります。本稿では、2026年9月21日に確認した公式情報を基に、実務手順を整理します。

1. Amazon Ads統合レポートで何が変わるか

統合レポートは、複数のアカウント、広告プロダクト、国、指標、ディメンションを一つのレポートにまとめる機能です。ディメンションとは、キャンペーン、掲載枠、オーディエンスなどの分析軸を指します。広告コンソールの「Reporting(レポート)」から、テンプレートまたはカスタム設定で作成・配信できます。[1][4]

比較項目

従来の運用

統合レポートで目指す状態

レポート入口

スポンサー広告とDSPで別

一つのレポート画面

対象範囲

アカウント・広告商品ごとに取得

複数アカウント・商品・国を横断

作成方法

個別レポートを取得して結合

テンプレートまたはカスタムレポート

分析軸

レポート種別ごとに選択

キャンペーン、掲載枠、オーディエンスなどを組み合わせる

現行ヘルプでは、計測ロジック自体は変わらない一方、指標名・定義・用語が標準化されたと説明されています。コンバージョンは購入日ではなく、成果につながった広告接触日(traffic date)へ計上され、ルックバック期間(広告接触後に成果をひも付ける集計期間)はキャンペーン種別ごとの条件が適用されます。Amazon DSPでは基本指標が広告対象商品と関連商品(promoted/halo)を含む定義へ広がる例もあります。アトリビューションを一律の新モデルへ変えたと捉えず、旧指標との対応を確認します。[3]

2. 日本での提供条件と参照できる履歴範囲

統合レポートは日本を含むアジア太平洋地域で提供され、広告コンソールからAmazon Adsレポートへアクセスする広告主が対象です。追加料金や最低出稿額は今回の公式発表に記載されていませんが、広告費、契約費、外部ツール・代理店費とは別です。[1]

取得できる期間は粒度で異なります。[1]

データ粒度

参照できる最大範囲

日次・週次

最大15か月

月次・年次・概要

最大6年

これは一律の保存保証ではなく、粒度、ディメンション、指標によって利用可能期間が短くなる場合があります。期間の途中だけが返る事故を避けるため、作成前に対象列の最大期間を確認します。[3][4]

2026年6月8日の一般公開発表では、Amazon Marketing StreamとReporting APIはベータ版として案内されています。個別アカウントの現行ステータスと利用条件は再確認してください。Amazon Marketing StreamはAmazon Ads APIとAWSを使う経路で、コンソールのファイル作成とは分けて考えます。[1][5]

また、2026年8月11日更新の作成ヘルプでは、Sponsored TVと広告グループを持たない旧式のSponsored Brandsキャンペーンは未対応です。対象外の広告商品があるため、「全広告商品を無条件に統合できる」とは考えません。[3][4]

3. 移行前に現在の定期レポートを棚卸しする

最初に、毎日・毎週・毎月作っているレポートを一覧にします。対象はダウンロードファイルだけではありません。社内WBR(週次事業レビュー)、代理店の納品物、スプレッドシート、BI(データを集計・可視化する仕組み)、API連携、通知も含めます。

最低限、次の項目を1レポートにつき1行で記録します。

  1. 目的と担当: 予算消化、検索語句改善、経営報告、作成者、利用者。
  2. 対象範囲: アカウント、国、広告プロダクト、キャンペーン。
  3. 期間と粒度: 日次、週次、月次、集計期間。
  4. 列の定義: 指標、ディメンション、promoted/halo、計上日。
  5. 集計条件: 通貨、タイムゾーン、フィルター、除外条件。
  6. 配信と下流処理: 頻度、形式、受信者、スプレッドシートやBIの参照先。

Amazon広告レポートの指標と改善順はAmazon広告レポートの読み方、週次運用へ落とす方法はAmazon広告レポート設計と改善ロードマップで整理しています。今回は指標解説を繰り返さず、「現在使っている定義を失わずに移す」ことに集中します。

4. 統合レポートへ移す6つの手順

手順1:新しいレポート画面へ入る

広告コンソールの左側から「Reporting(レポート)」を開きます。旧画面ではなく、統合レポートのハブで「Create report」を選びます。[2][4]

手順2:テンプレートかカスタムかを選ぶ

標準的な確認はテンプレート、社内表に必要な列が決まっている場合はカスタムレポートから始めます。

手順3:対象範囲を固定する

アカウント、広告プロダクト、国、キャンペーンを選びます。初期設定では全キャンペーン・全地域が入る項目があるため、対象外を除きます。[4]

手順4:指標・ディメンション・粒度を合わせる

棚卸し表を基に、時間、詳細レベル、指標を少なくとも一つずつ選びます。列名だけで一致判定せず、画面に表示される定義とpromoted/haloの区分を確認します。[3][4]

手順5:新旧を同じ期間で並べる

広告商品、期間、通貨、タイムゾーン、フィルターをそろえ、件数、費用、クリック、売上、主要KPIを比較します。差があれば、指標定義、traffic date、対象範囲、反映遅延を確認します。差をゼロにすることではなく、説明できる状態が完了の目印です。

手順6:定期配信と下流処理を切り替える

2026年9月1日更新の公式ヘルプでは、セルフ移行ツールが利用可能と案内されています。保存済み・定期レポートを移し、受信者、頻度、列順、スプレッドシートやBIの参照先を読み戻します。ツールが用意されたことと、自社設定が自動移行済みであることは同じではありません。[2]

5. 2026年12月31日までの完了判定

公式ヘルプの移行日程は次のとおりです。日付は変更される可能性があるため、実行時にも確認します。[2]

日付

予定されている状態

2026年9月

セルフ移行ツールを利用可能

2026年12月17日

旧画面で新規作成・編集を停止。既存レポートは読み取り専用

2026年12月31日

旧画面を廃止。残る保存済み・定期レポートと履歴データを削除

切り替え前に一つの週次または月次サイクルで新旧を並走させるのが安全です。これはAmazonの必須期間ではなく、数値差や下流処理の不具合を見つけるための実務上の推奨です。

移行完了は、次の5点で判定します。

  • 必要な広告アカウント、広告プロダクト、国が統合レポートに含まれている。
  • 指標定義、粒度、計上日、通貨、タイムゾーンの差を説明できる。
  • 定期配信後、スプレッドシートやBIまで欠損なく更新される。
  • 旧レポートに依存する担当者と手順が残っていない。
  • 12月17日より前に編集を終え、復旧用の設定記録と担当を残している。

1時間ごとのデータ配信やAPI自動化が必要な場合は、統合レポートのファイル運用と混同せず、Amazon Marketing Streamの仕組みを別途確認してください。Amazon Adsのレポート設計、運用体制、改善会議までまとめて見直したい場合は、GoalTechのAmazon広告運用支援をご覧ください。

出典・参考文献

確認日: 2026年9月21日。画面表示、利用権限、未統合機能、日程は対象アカウントで再確認してください。

  1. 統合レポートによるキャンペーン分析の効率化が一般公開開始|Amazon Ads(2026年6月8日)
  2. Migrate your sponsored ads and Amazon DSP reports|Amazon Ads Support Center(英語)(2026年9月1日更新)
  3. Understand unified reporting|Amazon Ads Support Center(英語)(2026年8月12日更新)
  4. Create a report in unified reporting|Amazon Ads Support Center(英語)(2026年8月11日更新)
  5. Amazon Marketing Streamの完全ガイド|Amazon Ads