Amazon Marketing Cloud(AMC)を使った分析で、2026年内に必ず確認したい変更があります。Amazon Ads公式ドキュメントでは、AMC Paid Featuresに含まれるAmazon 1Pシグナルが、2026年6月1日から2026年12月31日まで、対象地域でクエリ無料になると案内されています。
ただし、これは「AMCのすべてが無料」「広告配信費も無料」「すべての有料データが無条件で使える」という意味ではありません。無料になるのは、AMC Paid Featuresに含まれるAmazon 1Pシグナルへのクエリ費用です。3P有料機能は引き続きサブスクリプション費用が必要で、利用できるデータセットはアカウント、地域、マーケットプレイス、資格条件に左右されます。
本記事では、2026年6月22日時点のAmazon Ads公式情報をもとに、無料化の範囲、対象データセット、EC事業者が2026年内に試すべき分析、導入前の確認項目を整理します。
AMC 1Pシグナルを実務に落とす場合は、先に AMC分析ユースケース10選 で使い道を決め、Amazon広告レポート設計と改善ロードマップ で週次レポートへ落とし込みます。体制や内製化の判断は Amazon広告コンサルティングの選び方 を確認してください。自社データとAMCをつないだ分析設計は GoalTechに相談できます。
何が無料になるのか:AMC全体ではなくAmazon 1Pシグナルのクエリ
今回の変更は、AMC Paid Featuresのうち、Amazon 1Pシグナルに対するクエリ費用に関するものです。Amazon Ads公式のPaid features overviewでは、2026年6月1日から2026年12月31日まで、対象のAmazon 1Pシグナルを追加費用なしでクエリできると説明されています。
項目 | 2026年内の扱い | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
対象期間 | 2026年6月1日から2026年12月31日 | 2027年以降の料金モデルは最新案内を確認する |
対象シグナル | AMC Paid Featuresに含まれるAmazon 1Pシグナル | アカウントとインスタンスの資格条件を満たす必要がある |
対象地域 | AMC Paid Featuresが提供されるNA、FE、AU、EU | JPは複数データセットの対象マーケットプレイスに含まれる |
既存サブスクリプション | 有効なものは0ドルへ自動変換 | Paid Features画面で実際の表示を確認する |
3P paid features | 引き続きサブスクリプション費用が必要 | Experianなどの第三者データは別扱い |
NCS paid feature | 廃止済みで利用不可 | 古い資料のNCS前提は更新する |
つまり、2026年内は「試したいAmazon 1Pデータセットのクエリ費用が下がる期間」と捉えるのが正確です。広告費、DSP配信費、代理店費、SQL設計、データ連携、BI整備の工数は別に考えます。
対象になるAmazon 1Pシグナルと使いどころ
対象として公式に挙げられているAmazon 1Pシグナルは、通常の広告管理画面だけでは見えにくい購買、閲覧、動画、Brand Store、車両関連の行動を深掘りするためのデータセットです。
データセット | 見られることの例 | EC事業者の使いどころ | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
Amazon Insights | Amazon上の行動やオーディエンス傾向 | 広告接触後の検討行動を把握する | 利用できるテーブルと地域を確認する |
Amazon Retail Purchases | 最大60か月のAmazonストア購買シグナル | LTV、再購入、入口商品、ゲートウェイ商品の分析 | Seller/Vendorアカウント連携と対象マーケットプレイスを確認する |
Prime Video Insights | Prime Video関連の視聴・接触シグナル | PVA/CTV接触後の購買やBrand Store行動を見る | 提供状況と対象インスタンスを確認する |
Prime Video Channel Insights | Prime Video Channelの登録・視聴シグナル | チャンネル運営広告主の視聴者理解 | Prime Video Channelsを運営する広告主向け |
Amazon Your Garage | 車両タイプ、メーカー、モデルなど | 自動車用品・パーツ系のターゲット理解 | 対象カテゴリでなければ優先度は低い |
Brand Store Insights | Brand Storeのページ閲覧、滞在、エンゲージメント | Store訪問後の購買、未購入層、再接触設計 | 有効なBrand Storeが必要 |
特に多くのEC事業者に関係しやすいのは、Amazon Retail PurchasesとBrand Store Insightsです。Amazon Retail Purchasesは、最大60か月の購買行動を見ることで、初回購入だけでは判断しにくい再購入やカテゴリ横断の価値を確認できます。Brand Store Insightsは、Brand Storeを見たが買っていない層、どのページが購買につながりやすいか、Storeと広告の役割分担を見直す材料になります。
Amazon Retail Purchasesで見るべき5つの問い
Amazon Retail Purchases(ARP)は、最大5年分、つまり60か月のAmazonストア購買データを扱えるPaid Featureです。2026年内のクエリ無料期間は、長い購買サイクルの商品、再購入商品、複数カテゴリを持つブランドにとって検証価値があります。
問い | 見る指標・切り口 | 施策への戻し方 |
|---|---|---|
初回購入商品は何か | 初回購入ASIN、カテゴリ、広告接触有無 | 入口商品の広告予算を見直す |
再購入まで何日かかるか | 初回購入から2回目購入までの日数 | 再接触のタイミングを決める |
高LTV顧客は何を買っているか | 複数回購入、カテゴリ横断、購入金額 | 高価値顧客に近い層を作る |
新規顧客はどの広告接点から入るか | NTB、広告接触順、キャンペーンタイプ | 短期ROASだけで予算を切らない |
値引き後に継続購入しているか | 初回購入後のリピート、粗利、再購入 | クーポンやセールの評価を見直す |
ここで重要なのは、ARPを「細かい購買データを見るため」だけに使わないことです。短期ROASで負けて見える広告でも、長期で再購入やカテゴリ横断につながっている場合があります。逆に、短期で売れている広告でも、既存顧客への重複接触が多く、新規獲得やLTVへの貢献が弱い場合があります。
Brand Store Insightsで見るべき3つの問い
Brand Store Insightsは、Brand Storeのページ閲覧、滞在、エンゲージメントをAMCで扱うためのPaid Featureです。Amazon Ads公式では、少なくとも1つの有効なBrand Storeを持つ広告主が対象条件として示されています。
Brand Storeを持っている場合、2026年内に次の3つを確認しておくと、スポンサー広告やDSP、Prime Video Adsの改善に戻しやすくなります。
- どの広告からStore訪問が起きているか:Sponsored Brands、DSP、PVA、外部流入の役割を分けます。
- Store訪問後に買っている商品は何か:Brand Storeを単なるブランド紹介ではなく、入口商品とクロスセルの導線として評価します。
- Store訪問したが未購入の層をどう戻すか:Sponsored Display、DSP、動画広告、スポンサー広告の入札調整に戻す候補を作ります。
Brand Storeを広告の受け皿にしているのに、Store訪問後の購買や再訪を見ていない場合、配信面ごとの役割が曖昧になります。無料クエリ期間中に、まずは「Store訪問あり/なし」「Storeページ別」「広告接触あり/なし」の比較だけでも作る価値があります。
PVA・CTV・DSPの評価をAMCに戻す
Prime Video Ads(PVA)、CTV、Amazon DSPは、短期のラストクリックだけでは評価しづらい広告です。動画接触後にすぐ購入しなくても、その後にAmazon内検索、商品詳細ページ閲覧、Brand Store訪問、Sponsored Products経由の購入につながることがあります。
AMCでは、通常レポートだけでは見えにくい接触順、重複接触、頻度、購買までの流れを確認できます。Amazon Marketing Cloudの公式ページでも、AMCで生成したインサイトやオーディエンスをキャンペーン最適化、マーケティング実行、意思決定に使えると説明されています。
広告接点 | AMCで見る問い | 改善アクション |
|---|---|---|
PVA / CTV | 接触後に検索・Store訪問・購入が増えているか | 配信面、頻度、動画クリエイティブを見直す |
Amazon DSP | DSP接触者がSponsored Productsで刈り取られているか | DSPとスポンサー広告の予算配分を調整する |
Sponsored Brands | Brand Store訪問と購買に寄与しているか | Store導線と見出しを改善する |
Sponsored Products | 動画・DSP接触後の購買回収に効いているか | 指名・カテゴリ・商品別に入札を分ける |
関連する広告メニューの役割は、Amazon Prime Video Ads・Amazon DSP・CTV広告の違い、Amazon DSPとは?、Amazon広告の基本ガイドでも整理しています。article39では、それらをAMCでどう検証するかに絞ります。
PVA/CTVを測定対象に入れる前に、配信予算、最低出稿、CPM、動画制作費を分けて見積もる場合は、PVA広告の費用ガイドも合わせて確認してください。
2026年内に作るべきAMC分析ロードマップ
無料クエリ期間を活かすには、いきなり高度なSQLを増やすより、実務判断へ戻せる順番で進めるのが現実的です。
時期 | やること | 成果物 |
|---|---|---|
1週目 | AMCインスタンス、Paid Featuresタブ、対象マーケットプレイス、権限を確認 | 使えるデータセット一覧 |
2週目 | Amazon Retail PurchasesとBrand Store Insightsの対象可否を確認 | 分析テーマ3本の優先順位 |
3〜4週目 | LTV、再購入、Store訪問後購買、PVA/CTV接触後行動を集計 | 予算配分・除外・再接触の仮説 |
翌月 | オーディエンス化または入札・配信面調整へ戻す | 広告運用の変更ログ |
四半期末 | 2027年以降も使うデータセットを判断 | 継続利用・停止・外部支援範囲の判断 |
2026年内の目的は、すべてのPaid Featuresを試すことではありません。自社の広告判断に効くデータセットを見極め、2027年以降に費用が変わっても使う価値があるものだけを残すことです。
導入前チェックリスト
AMC 1Pシグナルを試す前に、次の項目を確認します。
- 広告コンソールからAMCにアクセスできるか
- 対象AMCインスタンスの地域・マーケットプレイスがJPを含む目的に合っているか
- Paid Featuresタブで対象データセットが表示されるか
- Subscribeまたは利用開始に必要な請求アカウントがあるか
- Amazon Retail Purchasesを使う場合、Seller CentralまたはVendor Centralとの紐づきがあるか
- Brand Store Insightsを使う場合、有効なBrand Storeがあるか
- Prime Video Channel Insightsを使う場合、対象チャンネル運営者として条件を満たすか
- 出力が集約・匿名化される前提で、最小集計しきい値を満たすだけのボリュームがあるか
- 分析後にどの広告メニューへ戻すかを決めているか
- 2027年以降の料金確認を忘れない運用にしているか
特に、ARPやBrand Store Insightsは「見られると便利」ではなく、「見た結果、どの予算・入札・配信面・除外条件を変えるのか」まで決めてから触る方が成果につながります。
GoalTechが支援できること
GoalTechでは、Amazon広告、Amazon DSP、Prime Video Ads、AMC、GA4、HubSpotをつなぎ、広告接触から購買・資料DL・問い合わせまでを見える化する設計を支援しています。
AMC 1Pシグナル無料化を活かす場合、特に次のような支援ができます。
- Paid Featuresで使うべきデータセットの選定
- Amazon Retail Purchasesを使ったLTV・再購入・入口商品分析
- Brand Store訪問後の購買・未購入層の再接触設計
- PVA/CTV/DSPとスポンサー広告の接触順・予算配分分析
- AMC分析結果を週次広告運用、LP、HubSpotのKPIへ戻す設計
AMCを単体の分析環境として導入するだけでは、商談や売上にはつながりません。広告予算、商品ページ、Brand Store、LP、CRMまで含めて、次に変える運用へ戻すことが重要です。
AMCやAmazon広告の分析設計を相談したい方は、GoalTechのAmazon EC運用支援 からご相談ください。
まとめ
2026年6月1日から12月31日まで、AMC Paid Featuresに含まれるAmazon 1Pシグナルは、対象地域でクエリ無料になります。対象にはAmazon Retail Purchases、Brand Store Insights、Prime Video Insightsなどが含まれ、JPも複数データセットの対象マーケットプレイスに入っています。
一方で、AMC全体が無料になるわけではなく、3P paid features、広告配信費、外部支援費、データ連携工数は別です。利用できるデータセットも、地域、マーケットプレイス、Brand Storeの有無、Seller/Vendorアカウント連携などに左右されます。
2026年内にやるべきことは、LTV、再購入、Brand Store行動、PVA/CTV接触後行動など、短期ROASだけでは見えない分析を小さく試し、2027年以降も継続する価値があるデータセットを見極めることです。
AMCや1Pシグナルを使う前に、通常レポートで追う指標、AMCで深掘りする問い、社内外の運用分担を整理しておくと検証が速くなります。
特にPVA/CTV接触後の購買やBrand Store行動を検証する場合は、配信前にPrime Video Ads(PVA広告)の基本とPVA広告のKPI設計をそろえ、LP側の資料DL・問い合わせまで追える状態にしておきます。
AMC分析の前後で確認するガイド
- Amazon広告レポート設計と改善ロードマップ
- Amazon広告コンサルティングとは?内製化支援の選び方
- Amazon DSP運用代行・代理店の選び方
- Amazon Prime Video Ads(PVA広告)とは?
- PVA広告のKPI設計ガイド
あわせて読みたい
- Amazon Marketing Cloud(AMC)とは?料金・使い方・始め方
- AMC分析ユースケース10選
- Amazon DSPとは?費用・始め方・スポンサー広告との違い
- Prime Video Ads・Amazon DSP・CTV広告の違い
- Amazon広告の費用ガイド
- Amazon広告運用代行・代理店の選び方
- Amazon広告レポートの読み方
出典・参考文献
- Amazon Ads Advanced Tools Center: Paid features overview
- Amazon Ads Advanced Tools Center: Amazon Retail Purchases in AMC
- Amazon Ads Advanced Tools Center: Amazon Brand Store insights tables
- Amazon Ads Advanced Tools Center: Amazon Prime Video Channel Insights
- Amazon Ads: Amazon Marketing Cloud
- Amazon Ads: Amazon Marketing Cloud's new Amazon Retail Purchases dataset